株式会社ウエルウエスト
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大西's Eye

「明治村」と香嵐渓「三州足助屋敷」

大西直良 (2010年11月26日 10:53) 2010年11月26日 10:53

 

週末を利用して車で横浜の自宅から、明治村(愛知県犬山市)と正に紅葉真っ盛りの香嵐渓(愛知県豊田市足助町)を巡った。
 
明治村はかねてから訪ねたいと思いながら機を逸していた。明治時代の急激な欧米化の中で、文化史上きわめて貴重な技術、様式を残した建物が数多く建築された。明治村は時の経過の中で次々と破壊されていくこれらの貴重な文化財を残そうと、全国から当時の建造物を移築している貴重な施設である。
私は建築の専門家ではないが、仕事を通じて長く建物の開発に携わってきたので大いに関心があった。広大な敷地に配置された帝国ホテル中央玄関や三重県庁舎、聖ザビエル天主堂・・・・などを見られたことは、素晴らしい景色と共に大いに探究心を満たしてくれるものであった。
しかしこの施設の運営面からサービスの精神は全く感じられないものであった。
余り使いたくない言葉であるが、まさに「お役所的な仕事」であり「これだけ素晴らしいものを集めたから見せてあげる」という姿勢としか映らなかったのは誠に残念であった。
 私が現地に着いた時は、途中の交通渋滞もあり午後2時近くになっていた。ざっと建物の外観を見て回りつつ食事のできる数少ない場所を探し、ようやく辿り着いて「明治時代のカレー」を食べるための行列に30分以上も並んでようやく店内に。
見ると大きなテーブルの半分以上は空席なのである。しかし前の客が食べた食器が片付けられていないために、次の客を案内できない状況であった。従業員は決して怠慢ではなく純朴な印象を受けた彼らは一生懸命動いているのだ。要は人数不足である。
オペレーションシステムが全く柔軟性を欠いており、顧客視点に立っていないのである。
漸く食事を終え、昔懐かしい帝国ホテルの2階で珈琲を飲み、午後3時ころ気を取り直して本格的に回ろうと思ったところ、なんと午後4時に閉館との告知に接し愕然とした。
駆け足状態で回っていると3時45分には“蛍の光“が流れてしまう羽目になった。
 都心部の美術館が夜間には閉まってしまう状況と同様である。
少しでも多くの人々に文化に接してほしいという精神は微塵も感じられなかった。
夏などは(5時閉館であるが)ライトアップをした夜間営業を行い飲食を充実させ、年間を通じて少なくても週末は6時位までは営業するべきである。これによる管理コストの増加を考えても、新たな各種の増収対策を講じることで簡単に年間数千万円の増加は見込めると概算したものである。
 
翌日には、東京からのバスツアーも多く組まれているモミジの紅葉名所である香嵐渓(豊田市足助町)を訪れた。ここは正に観光名所であり、雨天にも関わらず午前9時ころから多数の観光客が詰めかけていた。この自然の恵みにより足助町は、この時期に年間観光収入の大部分を稼ぎ出すと推測される。
従って観光客を相手にする民間業者は、朝から営業に余念がなくサービス精神にあふれたものであったが、これは当然ではある。
ここで私が印象に残ったのは、遊歩道の一角に設けられた「三州足助屋敷」である。
ここでは明治時代からあまり変化のなかった昭和30年ころまでの村人の暮らしを紹介している。そもそも民芸でもなく、伝統工芸でもなく、自然の生活の中で育ってきた文化を紹介している。
単に古い建物に何かを陳列するのではなく、自家製味噌、わら細工、梅干し、はた織、藍染め、竹細工・・・などの年中行事、日常生活を再現している。
また観光客が体験できる仕組みになっている。
現存している昔ながらの茅葺屋根や土蔵が紅葉をバックに点在している風景も美しかったが、何より印象に残ったのは、これを観光資源にしたことである。
全国各地で、自らの土地の良さを忘れて、高額の予算を投じて都会的な建物を建築した失敗例は枚挙にいとまがない。
都会から訪れた我々は古い山村住宅は珍しいと思うが、現地の人はこれらの建物や作業に価値を最初は見出しにくかった筈である。
またこの運営は株式会社三州足助公社が行っていることである。純粋な民間ではなく実質的には役場の影響力が多い組織であろう。ここのスタッフは適切なサービス精神にあふれた気持ちの良い人たちであった。
 
「明治村」のすばらしい建造物と紅葉の絶景そして「三州足助屋敷」は、何れも満足のいくものであったが、顧客主義から対象的なものを見てきた思いである。
以上