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SC業績が回復することの恐れ

日本経済は正に長い低迷を続けてきた。最近発表された2005年度の既存店売上高は、百貨店、スーパーとも9年連続して前年割れの結果である。  
しかしご承知のように昨年末から株価も上昇し、明るい兆しが見えてきた。最近のホリエモンショックに水を差されたものの、着実に回復の足音が聞けるようになった。
SCにおいては、15年ぶりに対前年比を0.3%上回り、小売業全体でも昨年12月は、大寒波の襲来もあり冬季商品の売上が好調であったことも手伝い好調である。今年は、消費の拡大に伴いSC業績の改善が期待されるところである。
さて、SC業績が回復することは関係者として大いに喜ばしいことであが、私はここに「懸念」を感じるのである。

現在SCは、大きな変革期を迎えている。
長崎屋、そごう、西友、マイカル、ダイエーなど大型店の経営破綻は、それぞれに固有の事情はあり、背景には経済停滞という大きな背景がある。しかしながら、百貨店やスーパー、そしてSCも旧態依然とした経営方針が消費者の支持を失ったことは事実である。
売り上げ不振の原因を他に求めることは容易であるが、過去の「モノ不足時代」や「高度成長期」のように店頭に商品を並べておけば売れた時代の後遺症である。
努力しなくてもある程度の業績を上げることができたという「成功体験」こそが、大きくSCの発展を阻害してきたと考えてきた。関係者の努力不足である。
消費者のニーズに合致していなかったのである。

SCやGMSは、量の拡大を求め、効率優先に走った結果、全国画一的な大きな白い箱型の建物が出来上がり、北海道から九州までテナントミックス、商品さえも均一化してしまった。地域固有の顧客のニーズに対応せず、ますます個人志向は個性化が進み、「モノ充足時代」のなかで特色を失ってきた。

こうした状況下ではあったが、ここ5,6年、従来と異なる思想のアウトレットモール、ライフスタイルセンター、商業施設を重視した大型都市型開発など、新たなSCが生まれてきた。今が日本の本格的SC新時代のスタートの幕開けであると実感している。
こうして新たな開発がなされても、最も先進的であるべきSCの運営現場は、一般的に驚くほどに保守的である。10年前の仕組みや考え方をそのまま踏襲しているケースもある。こうした現実には目を覆いたくなるケースに多く遭遇するのである。
すなわち斬新なSC開発がなされても、運営の仕組みが古いままなのである。 
しかし、現実のSC売上数字が毎年前年割れを繰り返す中で、SC運営者はテナント(専門店)から切羽詰った厳しい要求に接し、またSC経営トップからは常に改善を求められているのが現実である。こうした中で、歩みは遅きに失するものの、新たな時代への運営面の改革がようやく始まりつつある。
SC不動産投資は、オフィスビルや住宅と異なり、オープン後の経営こそが投資効率を大きく左右する。またREITの登場とあいまって、ようやくSC運営面の専門性と重要性が認識されてきたことは本当に喜ばしい。

ところがである、景気回復の兆しが見え、小売業の売上が好転する状況に至った。
SC経営者に安心感が広がって、「SC運営における質的な課題」が「売上アップ」という量的な条件で包み隠されてしまうのではないか。
SC運営現場で始まったばかりのレベルアップ、本格的なSCのプロパティマネジメントへのステップアップが止まってしまうことを懸念するのである。

 



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