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高速道路「ハイウェイオアシス富楽里」にみる今後の高速道路SA

最近立ち寄った館山自動車道「ハイウェイオアシス富楽里」は、今後の高速道路のSA(サービスエリア)の方向の一つを示していると思うので紹介したい。

道路公団は昨年10月に民営化され、その後は工事談合問題など芳しくない話題を提供しているが、高速道路のSAは、これから大きく変化する商業施設であると考えている。
私は昨年1月に、財団法人ハイウエイ交流センターにおいて「ショッピングセンターにおける開発・運営の実務」について、3日間、延べ15時間に及ぶ講義をお引き受けする機会があった。これは民営化に備えた研修の一環であった。
私は仕事柄、商業施設としての高速道路SAには興味があり、色々と改革すべきところはあると感じていたが、改めてSAについて考えることになった。
民営化にあたっては、SAを活性化して、利用者へ対するサービス向上と実現すると同時に共に、事業収益を拡大させることが重要である。
従来のSAは、いわゆる「トイレ休憩」に伴う食事と土産物などの販売という「利便性」だけを追求した施設である。さしたる営業努力をせずとも来客があったと言える。
また、SAの中では競争原理が働いておらず一つのSAは原則として一企業に業務委託していたようである。
今後のSAの活性化に最も重要なことは、経営に携わる組織、担当者の「意識改革」であることは言うまでもない。
SAを設置すれば、お客様が来てくれたという状態から、
「いかにして施設を魅力あるものにして集客するか」
「販売・サービス事業推進の枠組みをどうするのか」
「どのような集客戦略をたてるのか」
等々、抜本的な収益獲得のマインドを構築することが求められる。
この問題で延べたいことは多々あるが、ここではこうした根本問題はさておき、SAの開発を中心とした視点について述べたい。

次のようなことが課題ではないかと秘かに考えていた。
■ 現在「上り車線」と「下り車線」に別れているSAを一つに統合する。
特に週末の首都圏高速道路(例えば東名海老名SAなど)においては、午前は「下り車線」が混雑し、午後は「上り車線」が大混雑である。
これを統合することによって、経営の合理化が図れる。IT技術の進歩により不正使用は避けられる筈である。

■ SCを一般道路から利用可能とする。
一般道路専用の駐車場を下に設けることにより、SAの利用効率を向上させる。  

■ 各SCにおける建物設計に特色を持たせる。SAごとに国際色のある設計(あるSAはアメリカ色、あるSAはアジアなど)も可能で、これに伴い「差別化」した商品の品揃えも行う。
単なるトイレ休憩ではなく「あのSAによって、○○を買いたい。」という利用者の楽しさと消費ニーズを喚起しようと言うものである。

■ 土産物だけでなく、高速道路を降りるまでもなく日常の買物を賄える店舗構成にする。
具体的な店舗名を上げれば、ユニクロなどのファッション系や100円ショップがあっても良い。
この考え方を発展させれば、大きなショッピングセンター(SC)を開発して、一般道路からの来客を主として考え、高速道路からもSCを使えるようにするのである。
当然、一般道路の駐車場は下に配置し、高速利用者とは別にするのである。
など、もっと様々な開発上のアイディアはある。

こうした考え方の一端を採り入れたSAが既に存在しているとは知らなかったのである。誠に私が不勉強であることを痛感した。
これが冒頭に挙げた館山自動車道「ハイウェイオアシス富楽里」である。
さらに、この開発は「道の駅」をかねている。「道の駅 富楽里とみやま」である。
一般道からも、高速の上り車線からも下り車線からも利用できるのである。
1階の食品売り場は、南房総の旬の自然の魅力が満載の野菜や、漁港から直送の魚を売っている。観光客には絶好の土産になり、近隣の方は日常の買物に利用している。
レストランでは、その日に水揚げされた新鮮な魚が食べられる。メニューも漁港の食堂のような特色がある。
駐車場は、上り、下りとも36台と小さい。現在、高速道路は工事中で、途中は一般道を通行することにはなるが、開通すれば一層賑わうに違いない。
また、特色のある木材を使った建築もローカル色豊かで満足した。
野菜を売る人、レストランの店員も地元の素朴な人情あふれる方々であった。
一般の平凡な特色のないSAとは大きく異なり、久しぶりに満足度の高い商業ゾーンにお目にかかった。
ただし、余りにも規模が小さすぎる。全線開通の折には、週末などは駐車できぬ状態が続くに違いない。これは気になる。そして来店客が多くなれば、マニュアル的な経営になってしまうことも危惧されるのだが。


 



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