去る4月1日、東京地区は桜が満開。前日までの寒さが嘘のような絶好の「花見日和」となった。
東京都墨田区の桜の名所である錦糸公園において、阿波踊りイベントの開催にこぎつけた。「花ふぶく、阿波おどる」は、そのイベントに際して作成したコピーである。
当日は、地域の老人会の式典と花見の会が予定されていた。会には午前中から約700名の方々が来られていた。昼頃からは、阿波踊りがあるとの評判もあって、次から次へと花見客が訪れた。正に満開の桜の下で、午後からの風で花びらが散る中での「阿波踊り」には2000名近い方々が、踊り手を取り囲んだ。本来、阿波踊りは夏のものだが、夏とは異なる風情で美しく、大変好評をいただいた。老人会の会長さんは、イベントが終了すると、私の手を両手で握って「本当に皆が喜んで素晴らしい会になりました。」と感謝していただいた。
この経緯は次のようなものである。
私は約8年前から、東京高円寺阿波おどり振興協会とのご縁ができた。毎年8月に開催される「東京高円寺阿波おどり大会」は、2日間で約120万人の観客を動員する大イベントである。現在の東京三大祭の一つに数えられている。
今年は、50回記念大会である。これまで高円寺商店街の方々を中心に、関係者の方々が汗の結晶で育ててこられ、昨年3月にはNPO法人化された。この過程でも、私はわずかながらお手伝いをするという関係があった。
振興協会の新年会の席上、近くに居られたJR高円寺駅の山口駅長と「阿波踊りは夏のものだが、桜吹雪の下で踊ったら素晴らしいのでは」との話が出た。
何とか実現したいものだと考えていたところ、私が知っている錦糸公園で実現できないかと考えた。
錦糸公園の「桜まつり」は、地元の町内会の方々が中心となって実行委員会を作られて、花見の期間中に提灯の飾りつけなどをされていることが分かった。
墨田区が共催されている。私は、早速墨田区の文化振興課長を訪ねたところ、極めて協力的であり、実行委員会も大乗り気になった。
「それでは」と実現に向けて行動開始したが、問題は予算である。
私が地元の有力企業を訪問してお願いした結果、専門学校を経営されている学校法人立志舎が「地域活性化のためなら」と快くご協力をいただき実現できたものである。
直接の当事者でない私の思いは、「高円寺のレベルの高い阿波踊りをひとりでも多くの方々に見ていただきたい」「折角の花見の名所を盛り上げて、わずかでも地域活性化の一助にしたい。」との思いであった。
できれば、今後はプロ級の高円寺の阿波踊りだけでなく、地域の方々が構成する「連」が生まれて、全国でも例のないと思われる「桜吹雪の阿波踊り大会」が、地域の祭りとして育っていければと願っている。
単なる思いつきが形になり、私の想像を遥かに超える成功となった。
これは、関係された方々の熱意の結晶である。
区の担当の方は、区の公園内に事前に足を運ばれ当日の更衣室を手配いただいたり、町内会は会館を貸していただいた。何より踊り手である高円寺の振興協会の3連、約100名の方々が、急なお願いにも拘らず気持ちよくお引き受けいただいき、当日は本当に笑顔で一生懸命踊っていただき、観衆の心を打ったものと思う。
ふとした思いつきで行動したことが、(私の直接のビジネスを離れて)多くの人に喜んでいただけ、また私自身が大いに楽しむことができた素晴らしい経験であった。
|