先日、関西地区で設立された「NPO法人 再開発ビルネットワーク」の研修会で話をさせていただく機会があり、改めて再開発ビルについて考える機会があった。
各地の再開発ビルは、大きな意義ある足跡を残したといえる。
駅前あるいは中心市街地の雑然とした地区、をモータリゼーションに対応させる広場、道路など社会的なインフラを整備してきた。
さらに、低層の雑然とした商店街を高層化し、防災上の安全を確保することができた。
その結果、都市の美観の形成とともに、都市機能の効率化に果たした役割は大きい。
一方、20年以上も経過した市街地再開発ビルの商業ゾーンは、大口テナントの退店問題や他のSCとの競争に破れ、瀕死の状態にあるものもでてきた。
この間、特に高度成長期においては、大型SC開発が急激に進み、次々と消費者の新たな需要に合致したものが現れている。一方、開発時点の状態が続いている再開発ビルは、次第に競争力を失っていったのである。
市街地再開発ビルに限らずSCも、ますます競争が激化する中で衰退してものも多い。
しかし「再開発ビル」であるがための大きな構造的な問題を抱えている。
ある意味では「シャッター通り商店街」の問題と共通している。
すなわち、一般的な民間のSCは、原則的にディベロッパー(DV)が所有権を持って、かつ経営にあたっている。
<注> REITの普及によりこの原則は崩れつつあるが。
一方、「再開発ビル」においては、開発前の店舗経営者が建物の一部の所有権を持ち、引き続いて商店を経営しているケースが多い。
こうした商店は、ともすれば新しい消費者のニーズに合致していない店舗が多く、こうした店舗がいくつか集まれば全体商業ゾーンのイメージは低下する一方である。
さらに重要なことは、これらの店舗に対して改善または退店をさせる仕組みがないために
ますます陳腐化が進むことになる。
SCであれば、DVが統一した意思に基づいて開発・運営を行い、常に消費者の動向にあわせた店舗構成をすることができる。
したがって「再開発ビルの活性化」に最も重要なことは、明確なコンセプトに基づいて、テナントミックスを抜本的に行う「リニューアル」を行うことである。
このときに、従来からの所有権者の権利をそのまま認めていたのでは一向に解決しないことが明らかである。
解決不法は「所有と経営を分離すること」である。
所有権者は、賃貸人の立場に徹して経営をプロに任せることしか再生の道はないのではないか。
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