中心市街地が「シャッター通り」と称されるように、全国的に衰退していることは皆様ご承知の通りである。
今年に入り「まちづくり3法」による大型店の郊外における開発が大幅に制限されることになった。この趣旨は、「人口減少、少子高齢化の社会に突入し、今までの拡大路線ではなく“コンパクトシティ”を目指そう。」と言うものである。
大きな流れとして基本的な考え方は理解するものの、特に地方の商工関係者は「大型店の開発が制限され、中心市街地が活性化できる」などと期待する向きがあることは事実である。決してそんなものではない。
中心市街地の活性化に向けて思うところを述べてみたい。
■ 中心市街地の衰退は「大型SCが郊外にできて中心部の商店街が衰退した。」というような単純なことではない。衰退の原因のひとつは、大きな都市構造の変化である。
都市規模の拡大やモータリゼーション、鉄道や道路の新設など、かつての小規模な商店街を中心とする中心市街地が住民の需要にこたえられなくなったことである。
年々、都市のスプロール化が進んでいる。以前の中心街がもはや「中心街」としての機能を果たせなくなっている地域も多い。これに逆らって中心市街地の活性化などできるはずがない。
■ 二番目は、商店街の内的な問題である。
大きな環境変化により、業種・業態がその役割を失い存続意義を失うケースや、商店街内部の努力不足によるものである。
たとえば、昭和30〜40年代には存在していた、牛乳配達店・豆腐屋・おもちゃ屋などは、大量生産・大量販売の大きな流れに飲み込まれた。
また、商店主自身が郊外に居を構え、商売を中止して店舗を賃貸しているケースも多い。こうした環境変化に対して、商店街が対応の努力を行ってこなかったことである。
■ 今まで中心市街地の活性化問題は、余りにも「商店街問題」として語られ過ぎたのではないだろうか。中心街は商店だけでない多くの機能に注目すべきである。
地域の問題は、それぞれに特性があって代替性がないのである。
あくまで個別の問題であり、活性化の検討に当たっては、まず地域のポテンシャルについて徹底的に専門的な分析が必要である。
その上で「商店街」として“活性化ができる”と判断されれば、SCの開発・運営の手法を活用しつつ、かつての商店街の復活ではない「新たな商店街」の構築を具体化すべきである。
■ マーケティングによって商業地としての活性化が難しいと判断されれば、アーケードや駐車場対策など無駄なハードの整備を中止して、新たな活性化の道を探るべきである。従来型の物販やサービスなどの商業復活が難しいものは見極めが重要である。
「ダメなものはダメ」なのである。
■ ではこうした中心街の活性化はありえないのか。そんなことはない。
むしろ生まれ変わる絶好のチャンスである。
中心市街地の持っている最大の財産は、長い年月を経て創りあげてきた「市民の交流地点」の機能である。
昔から人々が集まり交通網が整備され、多くの情報が集まっている。
このソフトこそが「中心市街地活性化のカギ」だと考える。
ハードではなくソフトを中心とした活性化こそが解決の唯一の道である。
具体的なソフトの提案は沢山ある。(これについては別の機会に述べたい)
■ シャッター通り商店街に、新たにマンションとオフィスビルが立ち並ぶことが活性化ではない筈である。人々が集まり市民の交流が生まれなければ活性化とはいえない。
それぞれの土地における中心市街地活性化とは何を目指すのか? 目的を明確にすることからすべてが始まる。中途半端に空き店舗のいくつかをチャレンジショップにしたところで全体の解決にはならない。 |