経済産業省が企画する「平成19年度中心市街地活性化に取り組む市町村に対する立ち上がり支援・助言事業」という長い名前のプロジェクトが2月25日の検討委員会をもって終了した。
ご承知のように全国各地で「中心市街地の活性化」は大きな社会問題とさえなっている。
人口減少社会、高齢化社会に突入し、高度成長期時代のように郊外に都市が拡大していくことに対して、いわゆる「コンパクトシティ構想」を目指すために「街づくり3法」の施行へ至っている。
今回のプロジェクトは、「中心市街地活性化基本計画の認定申請」を目指す市町村に対して「専門家」が現地に赴いてバックアップすることが目的である。
北は北海道富良野市から南は沖縄県奄美市まで19場所が対象となり、専門家が現地へ入り支援するというものである。19人の専門家の一人として某市を担当する機会があった。
私の担当した市は既に以前から検討が進んでおり今年になって申請手続きが完了した。
この市におけるデータの分析、活性化計画の基本方向は適切であった。
当該市では、行政の担当セクションが意欲的に的確に機能しており、この半年間の中で行政を中心とする具体的な「まちおこしの担い手」ができつつあることは心強い思いである。 今後に期待して見守って生きたいと思う。 机上で作成された申請書が認可され、国の補助金などのサポートがあっても、現実に市民がどれだけ使命感、一体感をもって活性化を成し遂げるかということこそが重要である。
このたび19都市の活動結果を総括する会議における各地の報告を伺っていると、場所によって極めて大きな格差があった。
すなわち、行政の窓口でさえ十分に中心市街地活性化の理解がされていない、あるいは行政の担当部署の行動が他の関係部署に理解されていない、あるいは行政自体はやる気であるが商工者や市民とのコンセンサスができていない・・・などである。
今回の最終会議で今年度の19都市に対する支援・助言事業は終わる。
当然のことながら「中心市街地活性化基本計画の認定申請」という手続きは、まさに入り口の作業である。
市民が「わが街を元気にしよう」と多くの参画を得た様々な動きが生まれなくてはならない。そして現実のものとしなければ意味がないことは当然である。
私たちは「認定手続き」をバックアップすることではなく、活性化の実現を支援することが本旨である。しかし仕組み上はこれで関与はおしまいになる。
仮にも市町村が「認定を受けて補助金を受ける」ことなどを目的とするならば、結果的に目的が達成されないことは明らかである。
本来、地域の活性化は国の方針で行われるべきものではない。
行政のできることは多いとはいえ、あくまで市民が「主」で行政は「従」でなければ実現できるわけがない。
是非本当の地域に根ざした「活性化」が実現することを熱望したい。
以上
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