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注目のドバイ視察

3月16日から約1週間、日本SC協会の「第106回海外視察研修」に参加してドバイ(アラブ首長国連邦)とデリー(インド)を視察した。
SC協会では、毎年3回程度の海外SC視察研修を計画しているが、ドバイは初めてである。当初は参加人数20名設定していたようであるが、最終的に30名の大パーティーとなった。
毎年行われているアメリカやヨーロッパの視察なら、代表者が若手管理職に「視察に行って勉強して来い」と送り出すのであろうが、今回は行き先が注目のドバイということで「俺が行く」ということになったのであろうか。
今回は多くの企業の代表者が参加された。何と協会の理事が6名も参加された。

それはさておき、予想通りドバイは刺激的であり興味深いものであった。
ドバイの市街地全体が開発敷地といえる情況である。
“世界中の建設用のクレーンの3分の1がドバイに集っている。”という説が信じられる情況である。

不勉強の私は、ドバイはオイルマネーを頼りに潤っているのかと思っていたが、石油資源は今後20年程度で枯渇するようである。
ドバイはオイルマネーを基本にインフラの整備が活発に行われ観光立国を目指している。
最近TVでも多く紹介されているが、1泊70万円といわれる七つ星ホテル「バージュ・アル・アラブ」(上記写真)があり、完成すれば高さが800m(160階)という世界1の建築物になるアラブタワーが建設中である。
私がバスの車窓から撮った1枚のスナップ写真に13棟の高層ビルが写っていて、何と数えてみると12ビルが建設中で最上階に建設クレーンが乗っていた。

人口の約80%が外国人、そしてインドやロシアから大量の労働者が建設現場へ送り込まれているようである。
短期間の滞在で、アラブ諸国の宗教的な難しさを理解するには至らないが、保守的なイスラム社会の女性は頭をふくめた体を隠す服装に多く接した。

視察したSCは何れもレベルの高い設計であり、土地価格が低いので空間の処理が贅沢である。世界のブランドショップが多く入居しているSCもある。多くのSCの事業主はドバイの王族(といってよいのか)の資本のようである。
彼らもわずか40年前までは砂漠地の中にある宮殿で生活していた。
世界最先端の建築物とこれを利用する人々、古い伝統を守った人々と世界から集るコンピューターを駆使するビジネスマン、大きな所得格差。
この面的、時間的なギャップは十分に理解できなかった。
少しゆっくりと勉強したいと思う。

さて日本のSCは、大きな発展を遂げているが今まではアメリカ追従型であり、アメリカではこんなSCが出てきた、新たなファッション専門店が生まれたなどという情報がコンサルと称する人々の商売のネタになってきた部分もあると思う。
こうした習慣が抜けきらずに何かを形から短時間で得ようとすることが誤りである。
ドバイのSCを視察して「何を学ぼうとしているのか」を改めて考える必要があると痛感した。

「このMDは決してトップブランドのSCとはいえない。」「ゾーニングで学ぶべきものはない。」などという外観的な視察では余り意味がないし誤りであろう。
この国の歴史、経済力、世間の中で商業の占めるポジション、何よりSCの対象とするターゲットは誰なのか。
こうした中で導かれたそれぞれのSCのあり方を見なければ意味がなかろう。
あるドバイのSCでは、年収でいえば日本円で1億円以上の層をターゲットにしているという。日本においては、比較的平板的に半径5km圏内の人口が○○万人で・・・などというマーケティングが行われていて、平均的な平等社会の見方しかできないように思える。

帰りに寄ったニューデリーのSCでは、厳しく入場をガードマンがチェックして、最下層の人間の入場を制限している。
日本が今まで手本としてきたアメリカを見るような見方でアジア、中東を見ると本質が見えないように思う。
背景を考え、その国のSCの歩む方向を見据えることが、今後日本のSCが歩むべき独自の方向を見出す羅針盤になるのであろう。
  

                                                        以上

 
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