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SCは明確な開発コンセプトが重要である。
「コンセプト」は言葉の遊びであってはならない。
最近、あるショッピングセンター(SC)のセールスプロモーションのお手伝いをするに当たり「このSCの基本コンセプトをどのように設定していますか。」とディベロッパー担当者に質問した。
彼は「ちょっと待ってください。」と答え、ファイリングケースから開発時にコンサルタントが提出したカラフルなプレゼンテーション資料を広げる。
そして「ここに書いてありますね。」と指を指す。
そこには「人のふれあい」「自然との共生」などという抽象的な言葉が、美しいチャートや写真とともに描かれているという場面に遭遇した。

SCは「差別化が必要だ」「個性が大切だ」と多くの人が考えている。
そのためには、マーケティングに基づいて、建物の設計・建築に始まり、テナントミックス、施設管理、セールスプロモーションなどすべてに一貫して実現される「コンセプト」が極めて重要である。
例えば、警備や案内をどのようにするのか。案内所に作るのか、コンシェルジュを置くのか、入り口に制服のガードマンを置くのか、あるいは置かないのか。
このようなことも、すべては基本コンセプトに基づいて決定され行動されるべきである。
SCにおける開発コンセプトは、建物の企画からオープン後の運営を含んだ総合的なものでなくてはならない。

SC開発者の立場で考えてみたい。
開発コンセプトとは、コンサルタントがプレゼンテーション資料に書いたキーワードや美辞麗句などの「言葉の遊び」ではなく、設計からオペレーションまでの業務をどのように運営するかという自らの具体策である。
事業主が哲学を持たずして、専門家と称する商業コンサルタントの観念的提案を「プレゼンテーションの枕詞」として軽く取り扱ったり、あるいはこの抽象的言葉を「コンセプト」と考えるところから誤りが始まる気がする。

仮に具体的なコンセプトが、固まったとして、開発において重要なことは、誰にどの範囲の仕事を任せるのかという「仕組み」である。
コンセプトメーカー、設計者、商業コンサルタントと称する人々で、開発と運営の実務に精通している極めて少ないものである。
商業施設の経験が少ない開発者にとって犯しやすい二つの過ちがある。
一つは、「すべてできます」というコンサルタントの発言に乗ってしまうことである。
仮に、コンセプトメーカーに業務のすべてを委ねれば、彼らは不得意分野、たとえばテナントリーシングやSCオープン業や日常運営業務を下請けに出してしまうことになる。
下請けとして稼動する人間は、必ずしも開発コンセプトを理解せずに行動し、時として過去の経験のみを財産としている恐ろしい人達もいる。
こうしたチームから新たな個性あるソフトを中心とするSC開発は生まれない。

二つ目は、知識もビジョンも持たない素人の開発担当者が、実に大胆に専門家集団を権限により取り仕切ってしまうことである。 
施設管理、テナントリーシング、オペレーション実務、販促業務、広告代理店などを分断してそれぞれコンペ方式にしてしまうことなども恐ろしいことである。
時には、経営トップや開発責任者が、事業の開始に当たって「ゼネコンあるいは設計者または大物コンサルタント」にすべてを委ねるという大きな誤りを犯しているケースもある。
どのような枠組みで事業を進めるかによって、事業の成否の80%は決まってしまうのではないか。

また商業コンサルタントと称する人の中にも、残念ながらいかがかと思うビジネスを行う人もまれには居る。
プレゼンが上手いが、実務経験がなく、「造ってしまえばおしまい」というスタイルである。
「困難(コン)な時に、去る(サル)担当者(タント)」などといわれないような仕事が必要なことはいうまでもない。
私の現在の仕事は、大きな分類ではコンサルティングになるのだろうか。
現場感覚を基本に、プロジェクトの最後まで体を張る仕事をしたいと思う。

<注> 日本SC協会では約200人の信頼できる「SC経営士」を抱えている。
    協会の広報委員長(当時)としてPRをしておきたい。


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