中心市街地の活性化は
商店を復活させることにあるのだろうか?
かつて都市の中心としてにぎわった商店街は、シャッターが降りたままの空き店舗が増えて人通りがない。
中心市街地の活性化は大きな社会問題までに至っている。
全国で様々な努力が重ねられているが、なかなか答えを見出せない状況にある。
私は昨年、経済産業省中小企業庁商業課の「消費者にとって魅力ある中心市街地の商業作り実践行動テキスト調査研究事業検討委員会」という長い名前の委員会の委員として参画する機会があった。
私は、ショッピングセンター(SC)の開発と経営を通じて、いかに近隣の商店街や住民の方々と共生するかという課題に取り組んできた。
委員会では、商店街の立場にたって改めて考える機会があり、様々な分野の方々のご意見を伺うことができて大変勉強にもなった。
中心市街地活性化問題は、多面的な多くの問題を包含していて、とても簡単に述べられる問題ではないが、最近改めて考える機会があったので、ひとつだけ述べてみたい。
商店街が自ら活性化に取り組むときに、中身の問題はさておいても、民間のSC開発に比較して多くの組織的な課題を抱えている。
1. 解決に向けてのノウハウがない。
2. 絶対的に情報量が不足している
3. 組織は同一の権限を有する構成員によっているので、全員の合意が必要であり、それぞれの思惑が異なり結論がでにくい。
4. 決定に際して絶対的な権限を有するリーダーシップが発揮されにくい。
5. 構成員の権利調整は、それぞれに利害を生むので、仮に基本方針が決まっても実現に至るまでに大きな課題がある。
などがあげられるのだろうか。
こうして徒に時間が経過して、ますます環境の変化についていけなくなる傾向があろう。
改めて本質的な問題を見つめ直す必要があるのではないか。
商店街中心市街地の活性化とは、かつての「商店の賑わい」を復活させることだけに拘るべきではないのではないか。
補助金で駐車場やアーケードを作ったところで根本的な解決にはならない。
大型店と同じ土俵で、商品の種類、価格、トレンドを争っても結果は見えている。
SCの手法などを導入して、抜本的にテナントミックスが見直し、大資本の効率重視の販売に負けない「人と人とが触れ合う特色のある商店街」が復活すれば最も理想的な解決ではある。
しかし、地域によっては容易なことではなく、極めて遠い道のりではないか。
敢えて言えば、できない夢を追いかけることではなく、従来と異なる重要な使命を果たすことから活路が見出せるように思う。
古くからの商店街は、様々な機能が集まっている。
長年にわたり、多くの人の交流があり文化が育った場所である。
モノやサービスを売る「商店」の復活だけでなく、地域の「情報の交流場所」を最大の機能と位置づけることができるのではないか。
地域には宝物が眠っている。
地域の趣味のグループ、例えばママさんコーラス、和太鼓愛好グループ、かつてピアニストとして活躍された方などの発表の場になってもよい。
様々な年齢 ・職業の方々が、自由に語り合う「○○町フォーラム」がいくつも開催されてもよい。
お年寄りが中心となって 「竹とんぼ作り教室 」が開かれ、子供たちが目を輝かして集まる風景なども見たい。
息子も継がない商店を、無理にコンビニなどのチェーンストアーのフランチャイズに参加したところで、本当の活性化などとは程遠いものにある。
こうした活動の積み重ねの中で、新しい活性化の息吹が生まれるのではないか。
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